こんにちは、腹筋がカニの裏の人(プロフィールはこちら)です。
筋肥大を目的としたトレーニングにおいて、追い込むことはどの程度必要なのでしょうか?
おそらく多くのトレーニーが疑問に思っているであろう、この「追い込み」について、今回は筆者の今までの経験や、トップビルダーの様子をもとに解説をしていきたいと思います。
【追い込む/追い込まない】どちらが筋肥大に効果的か?
トレーニングにおける「追い込み」とは?
まず、この「追い込み」に関して、皆さんは明確なイメージを持っているでしょうか?
トレーニングにおける「追い込み」とは、1セット中に限界を迎えてから、様々な「テクニック」を使ってさらに身体に負荷を与え続けることを言います。
追い込む為のテクニック
この追い込むための「テクニック」には、以下のようなものがあります。
フォーストレップ法 | 限界を迎えたところで、補助者の力を借りてウエイトの挙上を手伝ってもらうことでさらに追い込みをかける。 一人で行う場合は、ワンハンドの種目などでもう片方の手で補助を行うことでも可能。 スティッキングポイント1のみ補助を借りることが推奨される。 |
ネガティブレップス法 | ポジティブの動き(コンセントリック収縮)をチーティングや補助を使って行い、ネガティブの動き(エキセントリック収縮)を自力で行うことで追い込みをかける。 |
ドロップダウンセット法 | 限界を迎えたところで重量を落とし、そのままトレーニングを続けることで追い込みをかける。 |
レストポーズ法 | 限界を迎えたところで数秒~数十秒間の休憩をとり、再び再開することで追い込みをかける。 |
筆者の経験・考察
結論から言うと、私の経験上、これらのテクニックを使って毎回追い込んでいた種目は重量やレップ数が伸びにくい傾向にありました。
これは、追い込むことがトレーニングのメインとなっていたことで、重量や回数を「伸ばす」という意識が薄れ、その代わりに「こなす」という意識が生まれてしまったことが、停滞の原因に繋がったと考えています。
また、追い込むトレーニングばかりをしていては身体に疲労を溜めやすく、オーバートレーニングに繋がるデメリットもあります。
実際、「(体験談)オーバートレーニングに注意せよ」にもあるように、ただひたすら追い込むトレーニングばかりを続けていた影響で、私は過去にオーバートレーニング症候群を発症しました。
その反省を踏まえ、現在は、以下のように「重量や回数を伸ばすべき種目」と「追い込むべき種目」を分けてトレーニングをするようにしています。
重量や回数を伸ばすべき種目:BIG3などの高重量コンパウンド種目など
追い込むべき種目:レッグエクステンション、ケーブルクロスオーバーなどのアイソレート種目、あるい自分の苦手とする種目(※)など
※苦手な種目はコントロールできる重量まで設定を落とし、その分追い込むことで強度を保つイメージです。
上記を意識するようになってから、しばらく伸び悩んでいたBIG3などは少しずつですが重量や回数が伸びてきていることを実感しているので、やはり目的によって「追い込む/追い込まない」を使い分けることが大切なのではないかと私は考えています。
日本のトップ選手はどうなのか?
では、日本トップレベルの選手はどのようにトレーニングをしているのでしょうか?
私は鈴木雅さんのオンラインサロンに入会しトレーニング理論を学びましたが、鈴木さんご本人はあまり追い込むようなトレーニングはしてこなかったと仰っていました。
もちろん1セット1セット限界まで行うのだけれど、そこからさらにドロップダウンセットやレストポーズ法等を用いてさらに追い込むようなことはせず、トレーニングフォームや身体の連動性、可動性、安定性などを重視して行っていたそうです。
一方、加藤直之選手のトレーニングセミナーを受けた際には、トレーニングに割ける時間が毎日1時間(日によっては30分)程度と短いため、その時間内にオールアウトさせるためにドロップダウンセットを多用していると仰っていました。
まとめ
今回は、トレーニングを追い込むための様々な方法とその必要性を解説しました。
筋肥大を目的としたトレーニングは、あくまでも「オーバーロード(=重量や回数を伸ばす)」が原則です。
確かに、自分の限界を超えるために追い込む意識は大切ですし、追い込むことで筋肉に深く刺激を刻むことができ、それが何とも言えない筋肉のカットの深さや質感を生み出すとも言われています。
しかし、だからといって全ての種目で追い込むことが目的になってしまうと、オーバーロードの原理に反するだけでなく、オーバートレーニングにも繋がってしまいます。
そこで、オーバーロード(=重量や回数を伸ばす)を目指す種目と、追い込む種目を分けて、それぞれの「美味しいとこ取り」をすればいいわけです。
基本的に高重量を扱うようなコンパウンド種目(BIG3など)に対しては、限界を迎えるまでの「回数自体」や「重量そのもの」を伸ばしていく。
逆に、アイソレート種目や後半に行う種目はテクニックを使って追い込む、という具合です。
ただし、加藤直之選手のようにトレーニングを短時間で済ませる必要がある場合は、これらの追い込むテクニックも有効だと言えます。
これらのことから、ただ単純に「追い込めばよい」とか「追い込まなくてよい」ということではなく、目的や環境によってこれらを使い分けることが最も大切だと言えるでしょう。
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