こんにちは、腹筋がカニの裏の人(プロフィールはこちら)です。
筋トレやダイエットを続けているけどなぜか伸び悩んでしまう。そんな思いに駆られている人は多いかもしれませんが、それは決して努力不足ではなく、あなたの中にいつの間にか抱え込んでしまっている「思い込み」が原因かもしれません。
筋トレやボディビル、ダイエットに取り組んでいると、知らず知らずのうちに「こうしなければならない」という思いに縛られてしまうことがあります。
そして、それらの多くは真面目さや向上心の強さから生まれているものが多く、気づかないうちに自ら成長を止めてしまったり、自身を苦しめてしまうことに繋がってしまいます。
今回は、そんな筋トレ・ダイエットでありがちな「思い込み」から脱却し、さらなるステップアップに繋がるヒントを、私の実体験も踏まえながら整理していきたいと思います。
トレーニングに関する思い込み
常に限界を超えるまで追い込まなければ成長しない、という思い込み
筋トレに真剣に取り組み始めた頃ほど、「常に限界を超えるまで追い込まなければ成長しない」という考えに行き着きやすい傾向があるように思います。
私自身も、過去には、毎セットのようにレストポーズやドロップダウンセットを導入し、限界を超えてまで追い込むことが正解だと思っていました。
確かに、そのやり方で一時期は大きく成長しましたが、ある程度まで行くとそれもやがて頭打ちになり、それ以降は「伸ばす」よりも「現状を維持する」だけで精一杯になってしまいました。
今振り返ると確かにトレーニング強度はかなり高かったとは思いますが、強すぎて逆に回復が追いついていなかったのだと今では反省しています(その結果、過去にはオーバートレーニング症候群を発症し大変苦労しました)。
最近はその考え方を変えて、レストポーズやドロップダウンセットなどの高強度テクニックは「ここぞ」という種目やタイミングに限定するようにし、基本となる種目では、純粋に重量やレップ数を少しずつ伸ばすことを目的にしています。
その結果、以前のように早い段階で頭打ちになることが減り、少しずつ成長を積み重ねられている感覚があります。
追い込むこと自体が悪いわけではありませんが、「毎回・毎セット限界まで」というやり方が必ずしも長期的な成長につながるとは限らない、ということを身をもって感じました。
この経験から、ただガムシャラに頑張り続けるよりも、継続しながら少しずつ成長し続けられる形を見つけることが大切だと今では感じています。
高重量を扱わなければ意味がない、という思い込み
「とにかく高重量を扱わないと成長しない」という思いに駆られるトレーニー(特に若い層)も多いと思います。
私自身も、昔はとにかく高重量にこだわり、バーベルを振り回すようなアームカールをしたり、高重量のスクワットを浅い可動域で行ったり、ベンチプレスを速いテンポで行っていた時期がありました。
当時は、「重量が伸びる=成長している」と思い込んでいたようです。
ただ、重量が伸び悩んできたタイミングで、鈴木雅さんのオンラインセミナーを受講したことがきっかけで身体の連動性を意識したりトレーニングフォームを見直し、対象筋に的確に負荷を乗せることを最優先にして、可動域やテンポ等を見直すようになりました。
その結果、以前のような重量は一時的に扱えなくなり、数字だけを見ると、以前に比べて後退しているように感じたのも正直なところです。
それでも、そのフォームをベースにトレーニングを続けていった結果、少しずつ挙重量が伸びていき、最終的にはフォームを改善した状態のまま、以前の重量ぐらいまで扱えるようになってきました。
そして何より、高重量ばかりを追い求めていた頃よりも、確実に脚は太くなり、上腕二頭筋のピークも高くなったと感じています。
この経験から思うのは、重量を伸ばすこと自体が目的になってしまうと、代償動作が働きやすくなったり、関節に負担が逃げてしまうことで、本来狙いたい筋肉から刺激が逃げてしまうということです。
まずは、フォームや可動域、テンポといった「精度」を高めることを前提とし、そのうえで、結果として自然に重量が伸びていく。
そのように”優先順位”をつけてトレーニングをした方が、長期的には確実に体は変わっていくと感じています。
疲れている時も強度を維持しないと弱くなってしまう、という思い込み
トレーニングを続けていると、「疲れていても、前回と同じ重量・回数・セット数をこなさなければ弱くなってしまう」と感じてしまうことがあると思います。
私自身も以前は、明らかに身体が疲れていると感じている日でも、前回の内容を下回ってはいけないと思い込んでいました。
しかし、その考え方でトレーニングを続けていると回復が間に合わなくなり、結果的に現状維持で精一杯になって、それ以上「伸ばす」ことができずにいました。
そこで最近は、明らかに調子が出ないと感じる時は、いい意味できっぱりと”諦める”ようにしています。
具体的には、重量を落としてストリクトなフォームをいつも以上に意識したり、コンパウンド種目を減らしたり、全体のトレーニングボリュームを抑えたりしています。
一見すると、「今日は手を抜いた」ように感じるかもしれませんが、そういう日は無理をせずに調整した方が、次回のトレーニングでは調子が上がり、結果的に重量や回数が伸びることに繋がりやすいと感じています。
疲れている時に無理をしないことは、弱くなることではなく、”次回に伸ばすための準備”だと思うようにすると良いでしょう。
一時的な不調に踊らされるより、調子の波を受け入れながら結果的に前に進み続けられる方が、長期的な成長につながると今では感じています。
栄養・食事に関する思い込み
100%完璧な食事管理をしなければならない、という思い込み
減量期になると、「一切の乱れも許されない」「その一食が命取り」そんなふうに考えてしまう人は多いと思います。
自分も昔は、減量中は毎日100%完璧な食事管理をしなければならない、と思い込んでいました。
ただ、今の考えは少し違っていて、基本となる食事管理がきちんと毎日できていれば、減量中であっても、たまには和菓子などの甘いものを食べたり、飲み会に参加してもほとんど影響はないと感じています。
もちろん、食べ過ぎや飲み過ぎは厳禁ですし、内容にも気をつける必要はありますが、大会までのスケジュールを把握したうえで、その前後の食事を調整しておけば、一時的に体重が増えたとしても、2〜3日、長くても1週間程度で体重は元に戻りますし、不思議なことに飲み会の翌日には体重が減っていたことさえありました。
実際、今年の東京選手権では、自分史上でも過去最高だと思える絞り・仕上がりを実現できましたが、大会の2週間前には会社の飲み会に普通に参加していました。
きちんと全体のスケジュールを立てたうえであれば、こういったイベントを必要以上に怖がる必要はないと思います。むしろ、コンテスト前でも飲み会に参加できるぐらいの余裕を持って減量を続けられることの方が、結果的にプラスになることも多いと感じています。

個人的な感覚では、常に100%完璧な食事管理を続けるというより、5%ぐらいは”外す”感じでもいいと思います。
例えば減量期の1日の摂取カロリーが2500kcalだとすると、125kcalぐらいは好きなものを食べる、というイメージです(250kcal食べたいなら2日に1回にする)。
体重が停滞したらチーティングが必要、という思い込み
減量中、体重が思うように落ちなくなると、「チーティングを入れた方がいい」と言われることがあります。
確かに、チーティングが有効なケースもありますが、個人的には極端なものは不要だと感じています。
自分の場合、今シーズンは体重が停滞しても焦って何かを変えたりせず、そのまま普段通りの食事を淡々と続けることで、1週間ほどでドカッと1〜2kg落ちる、ということが何度もありました。
体重の変化は日々直線的に進むものではなく、水分量やコンディションによって、一時的に止まって見えるだけのことも多いです。
どうしても疲労が抜けなかったり、トレーニングの調子が明らかに落ちてきたと感じた場合でも、いきなり好きな物を大量に食べる必要はなく、炭水化物の量を1〜2食だけ少し増やす程度でも、十分に回復を感じられることがほとんどです。
体重の数字だけに振り回されず、現在の取り組み方が崩れていないかを冷静に判断することが、減量期には大切だと感じています。
脂質=「悪」、という思い込み
特に減量期になると、「脂質=太る」「脂質はできるだけカットすべき」と考える人は多いと思います。
確かに、揚げ物やスナック菓子などに多く含まれる飽和脂肪酸は減量においてマイナスです。
ただし、すべての脂質が悪というわけではありません。 卵の黄身やナッツ、魚に含まれる脂質は、 テストステロンなどのホルモンの材料にもなり、 体づくりにとって重要な役割を果たします。
減量中であっても、こういった良質な脂質は、適量を毎日継続して摂取する必要があります。
特に卵に関しては、減量期になると卵黄を捨てて卵白だけを食べる人もいますが、個人的にはそれは非常にもったいないと思います。
1日のトータルの摂取カロリーをきちんと把握したうえであれば、卵黄に含まれる脂質やカロリーは、むしろ減量の味方になると感じているからです。
実際、私自身も今年の減量期は1日に全卵を4個食べていましたが、卵黄を捨てていた頃よりも抜群の仕上がりやコンディションを作り上げることができたと実感しています。
「脂質=悪」と思考停止せず、「どんな脂質をどれくらい摂るか」を考えることが大切だと思います。
サプリを飲めば何とかなる、という思い込み
筋トレやダイエットをしていると、「このサプリを飲めば筋肉が大きくなる」「これを飲めば痩せる」といった情報を目にすることが多くなります。
私自身も昔はサプリメントに頼っていた時期がありましたし、これまでに様々なサプリを試してきました。
ただ、正直に言うと、サプリを増やしたからといって体が劇的に変わったと感じたことは今まで一度もありません。
それよりも、生活習慣を整えること、睡眠をしっかり確保すること、食事からきちんと栄養を摂取することを意識した時の方が、圧倒的に体の変化を感じやすかったです。
サプリメントは、食事・睡眠・生活習慣といった土台が整ってはじめて、意味を持つものだと思います。
それらが不十分な状態でサプリに期待しても、大きな効果を感じにくいのは当然かもしれません。
サプリはあくまで「おまけ」や「補助」のような存在です。基本をしっかり積み上げたうえで、それでも足りない部分を補うために使うことが賢い方法だと思います。
メンタル・価値観に関する思い込み
筋トレやダイエットは、ストイックでなければならない、という思い込み
筋トレやダイエットは、「ストイックでなければならない」「甘えは許されない」そんなふうに語られることが少なくありません。
どこか、筋トレやダイエット、ボディビルが“崇高なもの”であるかのような扱われ方をしている場面もよく見かけます。
ただ、この考え方は、知らず知らずのうちに自分を過剰に追い込んでしまったり、時には他人にまで同じ価値観を押し付けてしまうことに繋がってしまいます。
筋トレやダイエットは本来、自分が好きでやっていることであり、なりたい自分に近づくための手段のはずです。
ところが、「ストイックでなければならない」という考えに縛られすぎると、いつの間にか“ストイックである自分”に酔ってしまい、本来の目的から外れてしまうことがあります。
そうなると、楽しさよりも辛さの方が勝ち、途中で挫折したり目指していた目標にたどり着けなくなることも少なくありません。
実際、私自身も、ストイックでなければならないと思い込んでいたシーズンに、オーバートレーニング症候群になり成績を落としてしまった経験があります。
筋トレやダイエットは、本来、自分の人生を豊かにするためのものです。誰かと比べたり、自分を追い詰めるものではありません。
無理なく続けられる形で、前向きに、そして楽しく取り組めているかどうか。その視点を忘れないことが、結果的に一番の近道になるのではないでしょうか。
大会で勝てなければ意味がない、という思い込み
ボディビルをやっていると、「大会で勝つことがすべて」「勝てない自分には価値がない」と感じてしまうことがあります。
私自身も、昔はとにかく勝つことだけに価値を置いていて、勝てない自分を否定するような考え方をしていました。
今振り返ると、「結果でしか自分や他人を評価できていなかった」のだと思います。
もし本当に勝ち負けだけにこだわるのであれば、もはやボディビルをする必要はありません。他のスポーツでも、ゲームでも、勝敗が決まるものはいくらでもあります。
でも、ボディビルの魅力は、単純な勝ち負けだけではないはずです。
ボディビルは、自分の肉体を通して自分を表現する競技です。自分の中で目標を立て、その目標に向かって積み重ねてきた過程や、自分なりの「個性」や「強み」をステージで表現することに、大きな価値があると思います。
順位はあくまで結果のひとつであって、それがすべてではありません。
どこを目指し、どんな身体を作り、どんな表現をしたいのか。そこに自分なりの意味や価値を見出せているかどうかが、競技を続けていくうえではとても大切だと思います。
そして、結果がどうあれ自分の中で「やり切った」と思えること自体が、ボディビルという競技の魅力のひとつではないでしょうか。
努力している人・成果が出ている人は偉い、という思い込み
筋トレやダイエット、ボディビルを続けていると、「自分はあいつより努力している」とか「あの人はあんなに凄い身体なのに自分は・・・」といった考えがよぎることがあります。
ただ、個人的には、こういった努力や成果だけで人の価値を決めてしまうような考え方は手放すべきだと思います。
そもそも、他人が見ている努力なんて、その人のほんの一部にすぎません。トレーニングをしている姿や、ストイックそうに見える行動だけを切り取って、本当の努力量を判断することはできないはずです。
また、人それぞれ生活環境も違えば、体質も違います。仕事の忙しさや家庭環境、睡眠時間や回復力もバラバラです。
さらに言えば、目指しているゴールや目的が違えば、本人がやるべきこと、やれることが異なるのは当然です。
そうした前提がまったく違う中で、努力や成果を比べてもあまり意味はありません。
他人より努力しているかどうか、身体がどうかを比べるのではなく、「昨日の自分より一歩でも目標に近づけているか」という視点の方が、ずっと健全で、長く続けやすいと感じています。
筋トレやダイエットは、誰かと競うためのものではなく、自分自身と向き合うためのものです。比べる相手は、常に他人ではなく、過去の自分でいいのではないでしょうか。
努力は人に認められるもの、という思い込み
筋トレやダイエットを続けていると、誰かに認められたい、褒められたい、という気持ちが湧いてくることは自然なことだと思います。
特に今はSNSが普及していて、写真を投稿すればすぐに反応が返ってくる環境があります。承認欲求を満たしやすい時代になったとも言えます。
ただ、承認欲求を満たすこと自体が問題なのではなく、それ自体が目的になってしまうと少し話が変わってくるように感じています。
他人からの評価や反応を基準にしてしまうと、どうしても思考の中心が「他人軸」になってしまいます。他人や反応に一喜一憂しやすくなり、思うような評価が得られないとモチベーションも簡単に揺らいでしまう。その状態が続くと、どれだけ頑張っていても満たされず、結果的に不幸を感じやすくなってしまうでしょう。
一方で、「なりたい自分になるためにやっている」という感覚で筋トレやダイエットに向き合っている時は、軸が「自分自身」にあります。
体の変化や日々の積み重ねそのものが喜びになり、たとえ誰かに評価されなくても、自分の中では前に進んでいる実感を持ちやすくなります。
この「自分軸」で取り組めている状態は、結果として長く続きやすく、精神的にも安定しやすいと思います。
SNSが身近になった今だからこそ、外からの評価に甘んじるのではなく、自分の中にある「こうなりたい」「こうありたい」という信念や理想に向かって精進することが、何より大切ではないでしょうか。
筋トレやダイエットは、他人に見せるためのものではなく、自分の人生をより良くするためのものです。その軸だけは、見失わずにいたいですね。
まとめ:思い込みを手放すことで、体づくりはもっと楽になる
筋トレやボディビル、ダイエットに取り組んでいると、知らず知らずのうちに「こうしなければならない」という思い込みを抱えてしまうことがあります。
それらの多くは怠けているから生まれるものではなく、むしろ真面目さや向上心の強さから生まれているものが多いです。
毎回限界まで追い込まなければならない。食事は完璧でなければならない。ストイックでなければ意味がない。他人に認められなければ価値がない。
こうした思い込みは、一時的には自分を前に進ませてくれることもありますが、長い目で見ると成長を止めてしまったり、楽しさを奪ってしまうことにも繋がりかねません。
筋トレやダイエットは本来、自分がなりたい自分に近づくための手段であって、自分を苦しめるためのものではないはずです。
今回の記事を参考に、これらの思い込みから脱却してさらなるステップアップに繋げていきましょう!


コメント